
つい先日、キャンプに出掛けてきた。
湖畔で4日間過ごしたのだが、日中は暖かいものの、日が暮れるのは早く、初秋だが夜になると5℃まで下がる。
本当に寒い。
そう、キャンプした場所は、北海道富良野なのである。

火の熱、そして薪火で作る茸汁や熱燗が冷えた体に染み渡る。温かいものに命拾いする、この格別の美味しさたるや。

日中本を読んでいたら、散歩に来ていた地元のご年配のご夫婦に話かけてもらった。
紅葉の季節になると湖を訪れるというそのお二人との、とっても印象に残った話のやりとりがあった。
ご夫婦「キャンプはよくするんですか?」
私 「はい、好きで色んな所に行きます」
ご夫婦「あらいいですね、どれ位の期間行くんですか?」
私 「長かったのは、10日間で北海道一周した事があります」
ご夫婦「すごいわね〜!じゃあ仕事もゆっくり働けているんですね。私らなんかは朝の7時から○時まで、あーだこーだ(割愛)」
私 「…うーん、ゆっくりって事もないんですけどね、まぁでも会社勤めじゃないのでペースは自分で決めて働けてますかねぇ〜」
ご夫婦の奥さん 「お父さん!そんな事ないわよ!こーんなに沢山薪割りしてるんだから、ゆっくりなんてしてられないわよ!」
ご夫婦の旦那さん 「そうだそうだ〜こりゃ忙しい。ハッハッハー」

あまりの寒さに、夫が流木を沢山薪割りして積んであったのだ。
その積まれた薪を奥さんが見て、すかさず言った。
「お父さん!そんな事ないわよ!こーんなに沢山薪割りしてるんだから、ゆっくりなんてしてられないわよ!」
この奥さんが放ったフレーズが、なんだかとても凛々しく聞こえ、私はハっとしたのだった。
稼ぎになる事ばかりが忙しい事ではないのだ。
生きるためにしている事は、忙しいのだ。

夜、そんな事を猛烈に寒いテントの中で考えていたら、子供の頃に大好きだった「北の国から」を思い出した。
そして気がついた。
私は富良野にいたのだ。
大人になった今、あらためて子供時代ぶりに「北の国から」に触れたい、そう思い立ち、1話からのあらすじをテントの中で復習し、次の日の日中はロケ地を巡ることに決めた。
なんだかとても導かれてここへ来た様な気がするのであった。

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